
2026年7月、静岡で開催された「START CAMP2026」に参加しました。
IMA株式会社が主催する、異なるバックグラウンドを持つ人たちが集まり、一緒に新しい事業をつくっていくための2泊3日の共創イベントです。参加して得た気づきを共有します。
START CAMPは今年で7回目の開催となり、私自身は今回が初参加でした。
会場には、大企業、スタートアップ、金融機関、VC、NPOなど、さまざまな立場の人が集まっていました。約200人が、農業、ものづくり、ヘルスケア・ウェルビーイング、テクノロジー・AI、環境・レジリエンスなどのテーマに分かれ、さらに小さなチームをつくって議論します。
最後には、それぞれのチームが考えた事業をピッチしました。2泊3日の間に、初めて会った人たちとチームを組み、社会課題を見つけ、事業アイデアにしていき、最後には人前で伝えるところまでやるイベントです。
私たちのチームは「ものづくり」というテーマを選びました。
理由は、このセッションに途上国で事業をしている人たちが多く参加していたためです。
私自身もマレーシアで中小企業向けのマイクロファイナンス事業に携わっているので、「日本の技術やビジネスの力を使って、途上国の社会課題を解決できないか」というテーマには、とても共感できました。
そして、私と一緒になったのは、ウガンダとインドでそれぞれ事業をしている2人でした。国も事業も違いますが、「社会課題をビジネスで解決したい」という根の部分は似ています。
自然と話が盛り上がり、私が住んでいるマレーシアをテーマにすることになりました。
そこで出てきたのが、マレーシアの肥満問題でした。
マレーシアは東南アジアでも肥満率が高い国の一つです。1)
「これは分かりやすい課題だね」
そうして、私たちは健康をテーマにアイデアを練り始めました。
ただし、ピッチまでの時間はわずか1〜2時間程度。
市場規模や社会へのインパクトを急いで調べ、既存のサービスを参考にしながら、ものすごいスピードでアイデアを形にしていきました。
最終的に考えたのは、運動などの活動をアプリで記録し、その活動量に応じてクレジットを貯められるデジタルプラットフォームです。
運動が大好きな人だけを対象にするのではなく、「誰かに言われればやる」という層にどう働きかけるか。
SNSのフィードのように活動を共有し、周りの人から刺激を受けながら継続できる仕組みも考えました。
短時間で考えたアイデアなので、もちろん荒削りです。
残念ながら、私たちのチームはファイナルピッチには進めませんでしたが、私はこのチームで議論できたこと自体が、とても面白かったと思っています。

ファイナルピッチに進んだ他のチームのプレゼンを見ていて、あることに気づきました。
リアルなストーリーとビジュアルがある事業は、圧倒的に伝わりやすい。
例えば、香川のあるチームは、障害のある人たちのアートを地域の看板に活用し、仕事や自立につなげながら、地域の景観や街おこしにもつなげるというアイデアを発表していました。
そこには、実際の地域の写真や看板のイメージがあります。
「こういう場所で、こういう人たちが、こういうことをする」
という光景が目に浮かぶ。
別のチームの発表でも、その事業に長く関わってきた人の経験や思いが伝わってきました。
そこで改めて感じたのが、事業を伝えるときには、数字やロジックだけでは十分ではないということ。
もちろん、市場規模やインパクト、ビジネスモデルは重要ですが、それだけでは人の心は動かないこともあります。
その人自身の原体験や、そこに対する思いが伝わることで、初めて事業にリアリティが生まれる。
そこに写真や具体的な風景が加われば、臨場感が増します。
その組み合わせが、事業を伝えるうえでとても大切なのだと、今回あらためて感じました。
2泊3日のイベントでしたが、私はおそらく100人近くの方と話をしました。
普段の仕事では出会わないような企業や、まったく違う国・業界で事業をしている人たちと話すことで、自分の視野もかなり広がりました。
ビー・インフォマティカも、マレーシアという一つの国だけを見ているわけではありません。
中小企業の資金調達という課題を入り口に、さまざまな国や企業、そして異なる技術やアイデアとつながることで、新しい可能性が生まれると考えています。
今回のSTART CAMPで出会った人たちとも、これから何か一緒にできるかもしれません。
今回の2泊3日は、事業についてだけでなく、事業をどう伝え、どう人を巻き込んでいくのかについても、改めて考えるきっかけになりました。
Referene:
1)WHO Western Pacific region
https://data.worldobesity.org/region/who-western-pacific-region-7/#data_prevalence
関連記事
【CEOの歩み4】「投資の対象」となるまでに必要だったこと——100人の対話から得た確信